決算書の超簡単な見方とは? 【その2】
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
前回は簿記がわからなくても決算書をなんとなく読むための説明を
しました。
しかし、当然これだけですぐに「決算書がわかった!」となるはず
もありません。
なので、さらに深く決算書が読めるようになるために重要なポイン
トについてお話しします。
なんとなく決算書を読むためには?
決算書の解読のコツとは?
決算書を読むためにまず初めにすべきこと。それは・・・
「何期分かの決算書を並べてみてみる」
ということです。
そもそも、決算書というのは一期分だけを見ても大したことはわか
りません。
1期分の決算書からわかること言えば、その会社が
「どんなことをしていて」、「資本金がどの程度で」、「売り上げ
がいくらあって」、「その期はもうかったのか、損したのか?」
ということくらいです。
それと「借金がどの程度あるのか?」ということもわかりますね。
でもこんな程度では、とうていその会社の実態は見えてきません。
なぜなら、過去がどうだったかということが、これだけではさっぱ
りわからないからです。
決算書を並べてわかってくることとは?
では、ここで3期分の決算書を並べてみたらどうなるでしょう?
これによりいろいろなことがわかってきます。
例えば、先ほどお話ししたいくつかの数字は、あくまでその期に
おける成績ということになります。
なので、ひょっとするとその会社はそれまでは全くダメダメだっ
たのに、今期になって急成長したのかもしれません。
それとは逆に、それまではかなりよかったのに、今期になって急
激に落ち込んだということも考えられます。
しかし、このどちらかなのかは、なかなか1期分の決算書を眺め
ていても、わかりません。
そのために必要なのが、「数期分の決算書を並べてみる」という
作業なのです。
これにより、それまでわからなかったことが、いろいろと見えて
きます。
初心者が見るべき決算書の4つのポイント
売上げについて
まず初めに見るべきは、「売上げ」です。
もし、その会社の売り上げが、
前々期 5,000万円
前期 3,000万円
今期 3,800万円
となっていたとすると、その会社は以前は結構よかったのに、前
期に売上げを落とし、今期ではその回復途上なのだという予測が
できます。
また、仮に今期が2,800万円だとしたら、何らかの原因によ
り前期から売上げを落としたまま、まだ回復ができていないとい
うことがわかります。
売上げは、その会社の販売における「規模力」を表します。
つまり、売り上げが落ちて規模が知育なっているということは、
何らかの原因により、その会社の販売力が落ちているということ
が推察できるわけです。
5つの利益について
そして次に見るべきは、「利益」です。
利益には、売上総利益(粗利)、営業利益、経常利益、税引き前
利益、当期純利益の5つがあります。
これらは、それぞれその意味が違うのですが、その中で特に重要
なのが「営業利益」です。
この営業利益とは、売上から原価と販管費(人件費や家賃、水道
光熱費などの営業をする上でかかる費用)を差し引いた残りの利
益です。
したがって、これを見れば、その会社が本業で儲かっているのか?
損をしているのかがわかります。
もし、営業利益がほとんどないもしくは、この段階で赤字である
場合には、その会社はやればやるほど赤字になるということを意
味しているわけです。
したがって、このような会社については、まずは、営業利益を黒
字化するための対策をしなければどうにもならないということに
なります。
では、どうやってこんな会社を黒字にするかといえば・・・
そもそも営業利益とは「売上げ-原価-販管費」の結果というこ
とです。
なので、この利益を増やすには
・ 売り上げを上げる
・ 原価を減らす
・ 販管費を減らす
という3つのどれかまたは、その組み合わせで対策するしかあり
ません。
では、「このうち3つのポイントのどれをどうすれば改善できる
のだろう?」と考えるのがコンサルの仕事の第一歩ということに
なります。
負債について
また、利益と並んで重要なものに「負債」があります。
たいていの会社は、多かれ少なかれ負債を抱えているのですが、
問題なのはその額です。
会社が負債をどうやって返済してくかといえば、一般的には
「会社に残った利益から返済する」
ということになります。
で、この場合、先ほどの5つの利益のどれから返済するのかと
といえば、「当期純利益」からということになります。
この利益が少なければ当然、返済はできなくなるわけなので、
この利益と負債額とのバランスが重要となります。
では、その会社が今の状態(利益もずっとそのままで、新たに
借り入れもしないと仮定した場合)のまま行ったとしたら、い
つすべての返済ができるのか?ということがわかれば、今後の
見通しもつきます。
そして、これを知るための方法が次の式です。
※ ここでは営業利益を使ったものを紹介します。
負債総額(短期・長期負債と割引額も含める)/営業利益
もし、3,600万円の負債があり、毎年300万円程度の利益
があるとした場合にその会社は
3,600万円 / 300万円 = 12年
となるため、すべての返済に12年かかるということがわかります。
問題はこの12年という数字が長いのか、短いのかということです
が、これを金融機関からみた場合には「ちょっと長い」ということ
になるため、このままでは追加の融資は厳しいということが予想さ
れます。
負債は、できれば10年以内に返済するというのが、一般的な考えと
なっています。
売掛金と買掛金
そして最後に気をつけてほしいのが「売掛金」と「買掛金」です。
「売掛金」とは、商売上で取引先に対して立て替えているお金です
のことです。
一方、「買掛金」とは、これとは逆に立て替えてもらっているお金
を言います。
つまり、どちらも商売上のツケというわけなのですが、売掛金がだ
んだん膨らんでいる場合には、その原因として考えられるのが。
・ 売上げが増えてこうなっているのか?
・ 回収できていない金額が多いのか?
という可能性です。
もし、これが前者ならば大きな問題にはなりませんが、後者である
場合には早く対策をしないと、
「回収して現金化できない=キャッシュ不足」
ということになってしまいます。
また、買掛金についてもその増加が短期のものであればよいのです
が、これが手持ちの現預金や売掛金からの回収額を超えてくると、
「支払い期日に現金がない」 = 「支払いができない」
ということになってしまいます。
そうなれば、最悪、倒産となりかねません。
実践的な決算書の見方
本来、決算書にはみるべきところがたくさんあるのですが、初心者
の方であれば、次の3点に注意してみた方がよいと思います。
➀ 複数の期間の決算書を順番に並べる。
➁ 売り上げと営業利益、負債の額、売掛金と買掛金といった箇
所についての金額の推移をみる。
➂ これらについて異常がある場合には、その部分についてヒア
リングする。
もし、この3つのことができれば、最低限の決算内容に関するアド
バイスができるはずです。
そして、その際に注意すべきなのは、
「中小企業の決算書を見て読み方に慣れる」
ということです。
大企業の決算書は、構造や勘定科目も中小企業のものとは大きく異
なっているため、中小企業のコンサルをする場合にはあまり役に立
ちません。
なので、皆さんも、もし決算書を見る機会があれば、これらのこと
に留意し、企業にアドバイスができるようになってください。
もっと融資や行政書士の仕事について知りたいと思ったあなたは、ぜひ融資コンサルになるための特別無料レポートを請求して下さい。
ブログには書けない特別な情報をお送りいたします。
なお、特典の無料スカイプ(20分間)orメール相談の回数は1回となります。
関連ブログ
-
企業サポートと金融検査マニュアルについて
2017年03月23日
ブログを読む -
新人行政書士にお勧め! 経営革新計画のコンサルとは?
2017年05月22日
ブログを読む -
行政書士と決算書【その1】
2017年04月17日
ブログを読む -
行政書士のための融資講座(その11 保証人)
2020年02月27日
ブログを読む -
行政書士のための「融資講座」【その3 融資の種類編2】
2019年10月23日
ブログを読む