決算書の超簡単な見方とは? 【その1】
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
この前、融資講座の受講生の方から
「会社の決算書が読めなくて、積極的に企業の相談に乗れない」
というご相談がありました。
「それは早く、対策できるようにした方がいいね!」
とその時は答えましたが、実は、私も昔はそうでした。
会社の登記簿謄本の見方はわかっても、決算書となるとさっぱり・・・
なので、チョット頑張って簿記の3級と建設業計理事務士2級にチャレ
ンジしました。
その後、勉強のかいあって何とか試験には合格。
これで決算書問題もクリアーだ!
と思っていましたが、いざ、本物の決算書を前にすると
「あれ、全然わからない?」
そうなんです、簿記が多少わかっても、それだけでは決算書は読めない
のです。
簿記の知識だけでは決算書は読めない理由。
なぜ、簿記がわかっても決算書が読めないのか?
通常、簿記の知識だけでは正確に決算書を読むことできません。
なぜなら、簿記と決算書とでは、見るべきポイントが違うからです。
では、「決算書を読むために簿記の知識は必要ないか?」
といえば、そんなことはありません
そもそ、決算書は簿記の仕組みでできているので、簿記の知識は絶対、
あった方がよいに決まっています。
しかし、冒頭でもお話ししたように、決算書を読むためには簿記とは
違ったスキルが必要なので、ここに気が付かないと、せっかく簿記の
知識があっても、決算書は読めないままとなります。
では、決算書が読めるようになるには、簿記の知識も決算書についての
知識も必要なのかといえば、結論としてはそういうことになります。
しかし、これは決算書の読み方をさらに深めていこうという際に必要と
なることであって、当面、その会社がどんな状況なのかを知る程度あれ
ば、簿記の知識はなくても大丈夫です。
なので、もし、3時間ほどもあれば、まったく簿記の知識がない方につ
いても基本的な読み方や経営者の方にコンサルするためのポイントをお
教えすることはできます。
しかし、ここではそれだけの余裕もないので、今回はまったく簿記知識
ない方であっても最低限、会社の状況がわかるポイントについてご説明
いたします。
簿記がわからなくても、なんとなく決算書を読むポイントとは?
損益計算書と貸借対照表のキーワード
まずポイントの一つ目は「貸借対照表と損益計算書の違いを理解する」
ということです。
結構、多くの方が「この2つは一体何のためにあるのか?」という意味
と「どういう関係にあるのか?」を理解していないことが少なくありま
せん。
しかし、これは決算書を読み解くうえでの超基本となりますので、ここ
があやふやだと決算書を見ても何もわからないということになってしま
います。
まず、損益計算書についてですが、なんとなくわかる方も多いのではな
いかと思います。
なぜなら、これは上から順に数字が加減されているだけだからです。
そしてその内容は、大まかにいえば
「その会社の一年間の売り上げ、経費、儲け(または損)を表したもの」
ということになります。
ここでのキーワードは1.「一年間の」と2.「儲けを表したもの」です。
一方、貸借対照表は
「会社の設立の時から、現在に至るまでの会社財産の内容を表したもの」
となります。
そしてこれについてのキーワードは、1.「会社設立の時から現在に至る
までの」と、2.「会社の財産の内容を表したもの」となります。
同じ期間で比較してはダメ
まず、1.のキーワードを比較してみると
「一年間の」 vs 「会社の設立の時から現在に至るまでの」
となるのがお分かりいただけるかと思います。
つまり、貸借対照表と損益計算書は、同じ時系列で考えてはダメという
ことです。
前者は、その期(1年間)の内容を表しているのに対して、後者は創業か
ら何年もの期間が対象になっているわけです。
次に気をつけていただきたいのが、2.のそれぞれが表している内容につい
てです。
2.のキーワードを比較してみると
「儲け(または損)」 vs 「会社の財産」
となります。
これを見ていただければわかるように損益計算書が会社の「損益」を表し
ているのに対して、貸借対照表が表しているものは会社の「財産」です。
なので、そもそもこの2つの表はまったく別の内容を表していることに
気づく必要があります。
BSとPLをつなぐものとは?
では、この2つの表の間に何の共通点もないかといえば、そういうわけで
はありません。
この2つをつなぐものが、たった一つだけあります。
それが「剰余金」です。
一年間の間に会社に利益が出た場合には、損益計算書の中では最終的に残
った利益つまりは、税引き後利益として表示されます。
この税引き後利益がある場合には、これが貸借対象表の剰余金に振り替わ
って毎年積立てられていきます。
また、この剰余金とは資本金の一部となるので、
「剰余金が増える」 = 「会社の資本金がどんどん大きくなる」
ことになります。
これとは逆に、損益計算書で利益が赤字の場合には、これもそれが剰余金
として積み立てられていきますが、この場合には先ほどとは違い、マイナ
スの積み立てとなっていきます。
しかし、もし、その会社に剰余金がないとすれば?
その場合には、資本金そのものから減らしていきます。
こんな状態が続き、もしくは短期間で多くの赤字を出した場合には元から
持っていた資本金が0になってしまうだけでなく、元の資本金の額を超え
てマイナスが膨らんでいくこととなります。
このような状態を「債務超過」といいます。
「債務超過」状態を一発で見抜くには?
でも、こんな面倒なことをいちいち考えなくても、その会社が債務超過状
態か?、そうでないか?を一発で見抜く方法があります。
それは、単純に貸借対照表の負債額の合計(長期・短期の両方を含める)
と資本金額とを比較するということです。
ここでもし、負債額の方が多ければ、その会社は債務超過だということに
なります。
例えば、資本金1,000万円の会社がある場合に、その負債総額が1,200万円
となっているならば、その会社は200万円の債務超過ということになりま
す。
では、同じ会社で負債額が800万円だったら、どうなるでしょう?
この場合には、その会社にはまだ200万円の余力はありますが、すでに元
からあった資本金のうち800万円については赤字により食いつぶしている
ことになります。
このような状態を「資本の欠損が生じている」といいます。
この資本が、元以上に増えているか?、それとも減っているのか?
ということは、その会社の決算書を見る上で、とても重要となります。
なぜなら、債務超過は当然としても、資本の欠損が生じている会社にも
金融機関は融資をしたがらないからです。
そのため、このような会社について診断する場合には
「その赤字はどのくらい前から続いているのか?」
「今後、債務超過や資本の欠損を回復できる見込みはあるのか?」
などという点について対策が必要となります。
このようなことは簿記の知識があるだけでは、なかなかわかりません。
なので皆さんには、簿記の勉強も重要ですが、コンサルに生かすための
決算書の読み方を学んでいただければと思います。
※ 「決算書の超簡単な見とは?。その2」へと続く。
もっと融資や行政書士の仕事について知りたいと思ったあなたは、ぜひ融資コンサルになるための特別無料レポートを請求して下さい。
ブログには書けない特別な情報をお送りいたします。
関連ブログ
-
行政書士のための「融資講座」【その8 金利】
2019年11月02日
ブログを読む -
融資の面談では、何を聞かれる?
2017年06月05日
ブログを読む -
信用保証協会の保証制度の見直しについて【その2】
2018年02月13日
ブログを読む -
こんな会社の設立では融資がでない?
2017年04月10日
ブログを読む -
行政書士のための融資講座(その12 銀行への提出書類)
2020年03月02日
ブログを読む