行政書士のための融資講座(その12 銀行への提出書類)
融資を受けた経験のある方はご存知でしょうが、
「何がどんな書類なのか?」、「どこでもらえばよいのか?」
など、さっぱりわからなかったりしますね。
でも、これらの資料はいずれも金融機関が審査をするうえで
必要なものばかりなので、どれ一つをとっても欠かせないものと
なります。
また、資料を集めるだけでなく、その書類にどんなことに注意
して書くかということも重要です。
そこで、今回は
「金融機関への提出書類にはどんなものがあるのか?」
「その書類の内容はどんなものなのか?」
「書類を集める際の注意点」
についてご説明したいと思います。
金融機関へ提出する書類の種類と内容
金融機関への融資の申し込むでは、必ず一定の書類の提出が
必要となります。
そこでもし、、間違った書類を出してしまったり、内容に不備
が在ったりすると融資の審査が進められません。
そのため、場合によっては決済に間に合わない、給与の支払い
ができないなどと言うことになってしまいます。
そのため、金融機関から求められる資料については、
できるだけ速やかに提出した方が結果的に手続きが早く済む
だけでなく、金融機関への印象もよくなります。
一般的に金融機関へ提出する書類としては、次のものがあります。
1.決算書(個人では確定申告書)
これらについては、税務署の受付印が押されたものを3期分
用意します。
決算書については、たまに貸借対照表と損益計算書だけを提出
する人もいますが、付属の資料も含めすべてが必要となります。
また、事業の決算を税理士に依頼している場合には、資料の末尾
に税理士の確認書がついているのが普通ですので、これも忘れず
に提出します。
なお、提出するものはコピーでもよいのですが、その際には必ず
原本もあわせて提出します。
但し、金融機関によっては、
「原本のみ提出し、コピーは金融機関でする」または、
「はじめから決算書の原本とコピーを提出する」
「コピーのみ提出して、後から原本を提出する」
などといったそれぞれのやり方があるので、事前に金融機関の
担当者に確認しておいた方がよいでしょう。
2 会社の履歴事項全部証明書
これは、昔でいうところの法人登記簿謄本です。
証明書の中身としては、現在の事項だけでなく、過去の会社の
経歴の変遷が記載されています。
期限は、原則として、3ヶ月以内に取得したものを提出します。
この証明書は、商号と本店所在地がわかれば、どこの法務局でも
取得できます。(以前は管轄の法務局だけ)
なお、これと似たもので、「現在事項証明書」というものが
あります。
しかし、こちらは、先ほどの履歴事項全部証明書とは違って、
現時点の会社の状況だけを表したものとなります。
間違って取得すると、取り直しとなってしまうので注意して
ください。
3 試算表
試算表とは、決算から一定の期間が経過している場合に
その期間の経営状況を見るための資料です。
通常は、決算から6ケ月以上経過している場合に提出を
求められることが多いです。
この資料は税理士に頼めば作ってもらえますが、もし、
依頼人が税理士に期限通りに資料を提出していなければ
中身が3~4ヶ月分しか中身のないものしか作れないこと
になります。
しかし、このような試算表では金融機関の印象を悪くするだけで
なく、融資が受けられなくなる可能性もあります。
なので、できれば直前の月の末日で締めたものを提出する
ようにしたください。
4 事業概要書、借入れ申込証
これらはこちらで用意するものではなく、金融機関から渡される
資料ですので、漏れがないように記載して提出します。
様式によっては、かなり細かいことまで書かなければならない
ものもありますが、空欄など作らずにできるだけ正確に記入する
ようにしてください。
なお、信用保証協会を利用する場合には、この他に
「個人情報の取扱いに関する同意書」
「信用保証委託契約書」
「信用保証委託申込書」
などもあわせて提出する必要があります。
5 事業計画書または資金繰り表
必ず求められる資料ではありませんが、多くの場合で提出を求め
られますし、また、これを提出すれは融資の審査に有利になる
ことがほとんどなので、極力提出するようにした方がよいでしょう。
この書類には、金融機関の指定の書式がある場合と、決まった形式
がない場合がありますので、金融機関の指示に従ってください。
この事業計画書を作成するときのポイントは、
「ムリのない内容で作る。」
ということ手です。
もし、事業内容をよく見せようとして、背伸びをした計画を作ると
それが達成できないときに金融機関の信用を失ってしまいます。
なお、資金繰り表については、大まかにまとめたものだけではなく
できれば12ヶ月分を各月ごとにまとめたものも提出した方がよい
でしょう。
6 その他
1)申込人・連帯保証人の印鑑証明書
申込人の印鑑が実印であることの証明のために提出します。
個人の分については市町村で、法人の分については法務局で取得
することができます。(但し、法人については印鑑カードが必要)
期限は、発行後3か月以内のものを提出します。
2)納税証明書
申込人の納税状況の確認のために提出します。
都税事務所または市町村役場で取得できます。
法人税または所得税については、その1またはその3を提出するのが
一般的ですが、消費税の納税について確認する場合にはその3の2
やその3の3が必要となります。
各証明書の種類と証明の内容は、以下の通りとなります。
納税証明書(その1)・・・納付すべき税額、納付額、未納税額等
納税証明書(その2)・・・所得金額
納税証明書(その3)・・・未納の税額がないことの証明
(その3の2)・・・所得税、消費税、地方消費税
(その3の3)・・・法人税、消費税、地方消費税
納税証明書(その4)・・・証明期間内に、滞納処分を受けたこと
がないこと
3)固定資産税の評価証明書
不動産を担保に入れる場合に、その物件の評価の資料として提出
します。都税事務所または市町村役場で取得できます。
これと似たものに「固定資産公課証明書」がありますが、こちら
ではなく「固定資産評価証明書」を取得してください。
4)不動産の登記事項証明書、公図
3)と同じく不動産を担保に入れる場合に、権利や位置関係を
確認する資料として提出します。
正確な地番や家屋番号がわかれば、どこの法務局でも取得する
ことができます。
5)建築確認済証
家屋や建物を担保に入れる場合に、法令に適合したものかどうか
を確認する資料として提出します。
これは建築確認の申請がされ、その審査に適合した場合に
発行される書面で、以前は「建築確認通知書」と呼ばれていました。
対象の家屋等が違法建築の場合には、これが発行されないので、
その場合にはその物件を担保にすることはできません。
以上のように、金融機関から求められる資料は多岐にわたります。
また、ここにあげたものだけでなく、必要に応じて他の資料を
求められることもあります。
どのような書類が必要かや、その内容がわからない場合には
金融機関へ確認の上で取得・作成するようにしてください。
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