行政書士のための融資講座(その9 運転資金)

Ichigo(一期)行政書士事務所の引地です。
皆さんは「運転資金」とはどういうものかをご存知でしょうか?
言葉としては、日常会話に出てくるほどポピュラーなものとなって
いますが、具体的な内容については何となく知っているという程度
だったりする方もいると思います。
しかし、「運転資金」は企業の日々の経営に密接に関係しているだ
けでなく、そのやりくりは死活問題とさえなります。
そのため、コンサルとしては、言葉の定義としてだけではなく、
その企業の「運転資金の内容はどのように構成されているのか?」
や「どのように改善すべきなのか?」ということについてアドバイ
スができる必要があります。
今回は「運転資金」についてお話ししたいと思います。
運転資金の特徴
「運転資金」必要となる理由
「運転資金」とは、仕入れ代金や家賃、人件費などといった事業を
運営する上で必要となる資金のことを言います。
大まかな区分しては、設備資金以外のもののほぼすべてが、この運
転資金にあたります。
そのため、融資といえば、すぐに仕入れや各種経費の支払いが思い
浮かぶように、運転資金の借入れは融資の中では最もポピュラーな
ものとなっています。
しかし、「なぜ運転資金が必要になるか?」については、ご存知で
しょうか?
運転資金が必要となる理由、それは
「支払いのつなぎのため」
つまり、資金繰りをするために必要だからということにあります。
資金繰りと運転資金の関係
たとえば、掛けで仕入れて、掛けで販売する場合を考えてみます。
回収と支払いのタイミングが「当月末日締め、翌月末日末払い」の
場合、仕入れが先にくるので支払いも先になります。
しかし、通常商品が売れるまでには時間がかかるので、代金の回収
はそれより後となります。
【売掛、買掛の期間がともに「当月末締め、翌月末支払い」場合】
仕入れ 8/15
買掛締日 8/30
販 売 9/1
買掛支払 9/30
売掛締日 9/30
売掛入金 10/31
もしこれが、仕入れた月と同じ月に販売できたなら、支払いと入金
のタイミングは同じになりますが、飲食店や生鮮品の販売などとい
った現金商売でもなければこれを実現することは困難です。
このように仕入れの支払いと売上げの回収の期間がずれればずれる
ほどその間の仕入れや人件費の支払いができなくなってしまうため、
資金繰りは悪くなっていきます。
運転資金は、この間の代金の資金を獲得するために行われるものと
いうのが基本です。
また、このような資金の借入れであることから、その返済は今後に
回収される代金で賄うこととなります。
「経常運転資金」は?
なお、運転資金を考える場合に「どの程度の金額が必要なのか?」
ということを計算で知ることができます。
この計算式で算定された運転資金を「経常運転資金」(または所要
運転資金、正常な運転資金)といいます。
経常運転資金は、次の式で算定されます。
「売掛金」+「受取手形」+「在庫」-「買掛金」、「支払手形」
これについては、行政書士のための「融資講座」【その3】でもご
紹介しましたが、改めて簡単に説明すると、
立て替えているお金(売掛金や受取手形)とまだ商品のままでお金
になっていないもの(在庫)の合計から、相手に立て替えてもらっ
ているお金(買掛金や支払手形)を差し引いた残り
がこれに該当します。
つまり、これは自分でお金を先に支払っている分(現金の流出がさ
れたもの)と支払いを待ってもらっている分(現金が流出せず保留
されているもの)を比較してどちらが多いかを意味します。
しかし、通常は先に現金が出ていき、その分の現金が不足となるた
め、これを補うのが運資金というわけです。
そのため、普通であればこの経常運転資金を満たすために必要な分
の融資を受ければ本来、それ以上の運転資金は不要ということにな
ります。
なので、金融機関では運転資金の申し出があった場合には、まずは
この経常運転市販の額を計算し、これを超える額の申し出があった
場合には、なぜ、必要なのか?について詳細にヒアリングすること
となります。
売上げが増えても運転資金は必要?
以上のように通常、運転資金は支払いと回収の間に生ずる期間分の
経費を補填するために貸し出されるものですが、それ以外の場合で
もこれが必要となる場合があります。
それは、「予想以上に売り上げが多くなった時」です。
同じ取引条件で、同じ量の仕入れと販売をしている場合には、必要
となる経常運転資金の額は一定なので、それ以上増えることもるこ
ともはありません。
しかし、もし売り上げが急に増加して、それまでの仕入額1,000万
円が1,500万円になった場合には、500万円分仕入れ資金が不足する
ことになります。
このような運転資金のことを「増加運転資金」といいます。
増加運転資金は、売り上げが増加したことによる手持ち資金の不足
から起こるものですので、返済について問題がない限り、金融機関
としては望ましい資金の使い方といえます。
なので、金融機関では、一般的な運転資金よりも積極的に貸し出し
をするのが普通です。
以上のように運転資金には、それが必要となる理屈の裏付けがあっ
てはじめて融資されるものですので、申し込みにあたっては
・ 資金使途に問題はないか?(赤字の穴埋めなどではない)
・ 適正な額の申し込みなのか?(経常運転資金の範囲内の額な
のか?)
ということに注意して、申し込む必要があります。
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