決算書の超簡単な見方とは? 【その3】
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
最近、メルマガ読者の方から「貸借対照表の読み方がよくわからない」
というご意見をいただきました。
貸借対照表は、損益計算書とは違い、上から順にみればよいというわけ
ではないため、その読み方にはチョットしたコツが必要です。
そこで今回は、なんとなく貸借対照表を読む方法をお伝えしたいと思います。
貸借対照表は何のためにある?
貸借対照表がある理由
決算書がわからないという方の中で、特に多いのが
「貸借対照表の見方」についてです。
私もはじめのころには、この表が何を意味し、どういう役に立つのかが
よくわかりませんでした。
しかし、超大雑把にいえば、この貸借対照表とは、
「現金や備品の管理簿」と同じものです。
なので、売上げをどんなに上げても、また、人件費がどんなに膨らもう
とも、つまり損益計算書の中身がどんなに変わっても、基本的には影響
を受けることはありません。
但し、一つだけ損益計算書の影響を大きく受ける部分があります。
それが「当期純利益」の額です。
損益計算書でその期に当期純利益が出た場合には、その利益は貸借対照
表の剰余金として振り替えられます。
この剰余金は資本金の一部なので、これにより利益が出た場合には
結果として、資本金が膨らんでいくということになります。
また、これとは逆に会社が赤字を出した場合にも、このマイナスの利益
が振り替えられていくので、結果として剰余金がどんどん減っていき、
最終的には資本金の本体までも少なくなっていくことになります。
したがって、貸借対照表と損益計算書とは、まったく別々に作られた表
であって、その中で唯一、当期純利益の額だけが影響する(貸借対照表
に振り替わる)ということになります。
資本金はどこに行った?
と、以上が前々回でお話ししたことの概要なのですが、
それでもまだ釈然としない方もいるのではないかと思います。
例えば、
「貸借対照表では、資本金という項目があるが、実際にはどこにそんな
お金があるのか?(会社の中にはどこにもそんなお金はない)」
とか
「なぜ、儲かっているのに資本金の金額そのものが増えないのか?」
などという疑問です。
これについては
「資本金というお金はどこにもない」
というのが正解です。
まず、会社を作った時のことを考えてみてください。
はじめ代表発起人の通帳に集められたお金は、法務局での確認が済むと
それが資本金となって登記がされます。
この場合の仕分けは
資本金 300万円 / 出資金 300万円
ということになります。
しかし、それが済むと、次にはその資本金をすぐに、会社の通帳に振り
替える必要があります。
これを仕分けで表すと
預金 300万円 / 資本金 300万円
という形となります。
※ ちなみに、会社の経理はここから始まります。
つまり、この時点で当初の資本金は銀行の預金に形を変えてしまうわけ
です。
そしてその後、その預金で備品を買ったり、仕入れをしていくわけなの
で、その分預金はどんどん減っていきます。
その際に資本金はどうなっているかといえば、貸借対照表の上では
「過去(初めの時点)に300万円という資本金があった」
という形でしか残らないということになります。
また次の
「儲かっているのに資本金の金額そのものが増えないのか?」
という疑問については「実際には増えている」ということになります。
はじめの説明で会社が儲かった時は、当期純利益が利益剰余金として
積み立てられていくというご説明をしましたが、この利益剰余金こそ
が資本金なのです。
資本とは、資本金の本体と剰余金(資本剰余金と利益剰余金)の2つ
から構成されています。
しかし、このうち剰余金は特別な手続きをしなければ資本として反映
されません。
※ この手続きのことを「剰余金の資本への組み入れ」といいます。
なので、どんなにこの剰余金が増えていたとしても、この手続きをし
ない限り、登記簿上の資本金額は増えないことになります。
つまり、登記簿だけを見ていたのではわかりませんが、決算書を見て
みれば剰余金の金額が増えているはずですので、その会社は儲かって
いるということになるわけです。
ここまでが資本金を中心とした貸借対照表の説明ということになりま
すが、最後に残るのは
「なぜ、貸借対照表が必要で、どんな役に立つのか?」
という疑問です。
貸借対照表を何期分か並べてみると、例えば、現金についてどれだけ
増えたり減ったりしているのかがわかります。
負債額や売掛金などについても同様です。
このように貸借対照表とは、そこに記載された財産がどれだけ増減し
たのかを知るための記録であるということがわかるかと思います。
貸借対照表の読み方
次にこれが実際にどのように経営に役立っているかといえば、会社の
体力がどの程度あるのかを知る目安となります。
先ほどの説明の通り、赤字続きの会社はどんどん負債が膨らみ、それ
と同時に資本金が削られ、いずれは倒産してしまいます。
もし、資本金が1,000万円の会社が500万円の赤字を出したとしたらど
うでしょう。
その会社は2年で会社の財産のすべてを失ってしまいます。
しかし、もしこれが資本金1億円の会社が500万円の赤字を出した場合
だったら、どうでしょう。
単純にそのまま赤字が続いたとしても、その会社はあと20年は営業で
きるという計算になります。
このように資本金の大きな会社はその分だけ、赤字に対する抵抗力が
強いということになるため、融資の際には有利となるわけです。
また、それ以外にも貸借対照表からは、財務分析をすることにより、
その企業の経営状態が正常かどうか、もし、そうでない場合にはどこ
を改善すればよいのかというヒントを得ることもできます。
ちなみに、現実的に貸借対照表を読み解く場合の方法は、前回にご
説明した
・ 数期分を並べてみる。
・ とびぬけて増えたり減っている項目があるかどうかに注意する。
・ このような項目があった場合には、その原因をヒアリングして
対策を立てる。
ということでは、まったく同じです。
決算書というのは、なかなか仕分けの本を読んだり、部分的な箇所だ
けを見ていたのでは理解できません。
なので、皆さんも、できるだけ早く決算書を見て、なぜここはこんな
数字になっているのだろうと考えるくせをつけてください。
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