行政書士のための「融資講座」【その3 融資の種類編2】
こんにちは。Ichigo(一期)行政書士事務所の引地です。
前回は、「形式から見た場合の融資の種類」についてご説明しました
が、今回はもう一つの分類、「資金使途から見た場合の融資」につい
てご説明します。
資金使途から見た融資の種類
融資は、形式的な分類と別に、これを資金使途の観点から分けること
ができます。
なお、資金使途とは「融資をどのような目的のために使うのか?」と
いう目的別の使い道のことをいいます。
・ 運転資金
・ 設備資金
・ 納税資金
・ 賞与資金
1.運転資金
運転資金とは、仕入れ代金や家賃、人件費などといった、事業を運営
する上で必要となる資金のことを言います。
一般的には、設備資金以外で必要となる資金の総称を指します。
2.設備資金
設備資金とは、不動産や車両、什器といった、いわゆる事業に必要と
なる設備を購入するために必要となる資金のことを指します。
なお、運転資金と設備資金の区別の仕方ですが、一般的に設備資金は
減価償却のできるものがその対象となり、運転資金はそれ以外のもの
となります。
しかし、減価償却できるものであっても安価な備品などで30万円程
度以下のもので一括償却できるものについては、実務では運転資金と
して扱われることもあります。
3.納税資金
納税資金とは、文字通り、税金の納付をするために必要な資金のこと
を指します。
納税するための資金を融資するというと、なんだか変に思われるかも
しれませんが、納税する=儲かっているということなので、金融機関
としても比較的、融資しやすい種類の資金ということになります。
なぜ、儲かっているのに資金がないかといえば、それは儲かっている
ほど仕入れの支払いや関連する経費の支払いをする必要が生じるため
のためです。
ただし、納税といってもこれは法人税や地方税の支払いに充てる資金
であり、消費税の納税については融資はされません。
これはなぜかというと、消費税は法人税などとは違い、預り金だから
です。
本来、預り金はこれを別会計で確保しておき、他への流用ができない
ものです。
にもかかわらず、支払時になってこれがないということはこれを使っ
てしまっているということになりますので、その不足分についての融
資はされないわけです。
4.賞与資金
これは、従業員に対する賞与支払いのために必要となる資金のことを
指します。
賞与の支払いは通常年2回に分けて行われるため、その返済について
は半年が限度とされます。
これについても納税資金と同じく、融資の対象になるの?と思う方も
いらっしゃるかもしれませんが、賞与も就業規則に記載されている場
合には本来、支払うべき人件費となりますので、これに対する融資も
行われます。
以上のように融資の種類を目的別に見た場合には、主に4つの種類に
分けられることとなりますが、気をつけなければならないのがそれ
ぞれの返済原資です。
運転資金、納税資金、賞与資金の3つについては、その返済原資の引
き当てとなるのは、売上げを回収したお金となります。
しかし、設備資金についてはこれとは異なり、その設備を導入したこ
とにより「増加が見込まれる利益」です。
なので、本来の運転資金の返済が1年以内であるのに対して、設備資
金の返済期間が長いのは、返済期間をその設備の償却期間にあわせて
いるためです。
なお、一般的な事業では仕入れ代金などが先に発生し、その入金は
仕入れ→販売→代金の回収後ということになりますが、例外的に飲食
店などについては、仕入れの支払いは1ケ月後(支払い期間が1ヶ月
後の買掛金)となるのに対して、売上げは販売をしたその日に入って
きます。
このような現金がその日に入ってくる商売(日銭商売)の場合には、
厳密な意味での運転資金は発生しないということになります。
なので、融資を申し込む際にはその点についても覚えておいた方がよ
いでしょう。
「経常運転資金」とは?
運転資金を考える場合に、事業をしていくうえでどのくらいの額の資
金が必要になるかという見方から運転資金を計算することがあります。
これを「経常運転資金」(または所要運転資金)といいます。
経常運転資金は、次の式で算定されます。
「売掛金」+「受取手形」+「在庫」-「買掛金」、「支払手形」
これを計算することにより、その企業が営業をするためにどの程度の
資金が必要で、現在、どの程度不足しているのかということから、融
資の申し込みの時の目安にもすることができます。
なぜこれにより必要な運転資金がわかるかといえば、
たとえば、売掛金について考えてみます。
売掛金とは、商品やサービスを販売してその代金の支払いを受ける権
利のことですが、実際には約束した期限がくるまで現金が入金される
ことはありません。
また、同じく、受取手形についても、支払期限が到来するまでは、現
金として入金はされません。
さらに、在庫は商品としては存在するものの、販売がされるまで倉庫
や店頭に置かれているものであり、これについても販売し、代金が回
収されるまではまでは現金化されません。
つまり、この3つについては将来的には売り上げとなるものの、今の
時点では現金化できないものとなります。
そのためこれらが多ければ多いほど、先に支払っている分だけ、会社
の現金はなくなることになります。
一方で、買掛金とは、買った支払いを待ってもらっているもの、つま
りは負債となります。
しかし、これについても約束により支払日が到来するまでは支払わな
くてよいわけですので、その間は現金が会社に残ることになります。
このように、入ってくるのを待っているお金が多ければ多いほど会社
には手元現金がなくなりますので、資金繰りが苦しくなります。
これとは逆に、支払うべきなのに待ってもらっているお金が多い場合
には、結果的に会社に現金が残るということになります。
なので、この差し引きをすることにより、経常運転資金つまり、常に
会社に必要な運転資金がどの程度のかということを知ることができる
わけです。
たとえば、Aという会社があって、売掛金が1,000万円、受取手形が
1,000万円、在庫が500万円、そして買掛金が2,000万円ある場合は
売掛金1,000万円+受取手形1,000万円+在庫が500万円-
買掛金2,000万円 = 500万円
となることから、この会社は事業していくうえで500万円の資金が不
足しているということになります。
金融機関では、運転資金の申し込みがあった場合、必ずこの経常運転
資金がどの程度なのかを計算し、その上で申込額が妥当なのかどうか
の審査をします。
そして、今回の運転資金の融資の申込額と既存の運転資金の借入残高
の合計が、この所要運転資金の総額を超えていないかという点に注意
をしています。
したがって、融資の申し込みをする側でも、ざっくりと3ケ月分の運
転資金がほしいとかではなく、ある程度この経常運転資金がどの程度
なのかということを理解した上で申し込みをする必要があります。
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