登記事項証明書等の見方 その2
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
前回は登記事項証明書や公図の取り方についてご説明しました。
しかし、登記事項証明書は取り寄せたものの、その中身がチンプン
カンプンでは意味がありません。
私は以前に司法書士の事務所で働いていたことがあるので、当時、
この点についてミッチリと仕込まれましたが、これからはじめて
行政書士になるという方の中には、
「本物の登記事項証明書を見たことがない!」
という方もいるのではないかと思います。
なので、今回はもう少し踏み込んで、登記事項証明書を見るうえ
で気をつけなければならない項目や注意点についてご説明したい
と思います。
不動産登記事項証明書は2部構成
不動産登記事項証明書を一度でも見たことがある方はお気づきに
なったでしょうが、その中身は「表示の部」と「権利の部」の2つ
の部分で構成されています。
「表示の部」は、俗に表示の登記といわれるもので、土地または
建物の面積や、構造、いつその土地が分筆や合筆されたかなどの
履歴が記載されています。
記載の項目としては
土 地 - 所在・地番・地目・地籍
建 物 - 所在・家屋番号・種類・構造・床面積
といった感じです。
一方「権利の部」は、表示登記の次に記載されている部分で、
主に所有権の移動や抵当権などの権利の設定や抹消、差し押さ
えや仮登記の状況などが記載されています。
また、「表示登記」と「権利登記」では、これについて申請を
することができる専門家もそれぞれに決まっていて、
「表示登記」-土地家屋調査士
「権利登記」-司法書士
が担当しています。
ちなみに、行政書士の人もかかわることの多い「相続登記」
ですが、これは相続を原因とする所有権の移転といった権利の
登記であって、内容としては
登記の目的 所有権移転(または〇〇持ち分全部移転など)
登記原因 平成〇年〇年〇日 相続
などとなります。
しかし、ここで気をつけていただきたいのが、この相続に関す
る登記は、行政書士は一切することができないということです。
行政書士になりたての人の中には、相続の受任をした時にどこ
までしたらよいかわからないといって、この相続登記までして
しまう人がいますが、これは立派な司法書士法違反となります。
行政書士が行ってもよいのは、戸籍の収集、遺産分割協議書の
作成、銀行や行政などに関する手続きの代行までです。
登記の申請書については、業としてこれを提出することだけで
なく、作成することもできませんのでご注意ください。
話は少し逸れましたが、このように登記事項証明書は「表示登
記」と「権利登記」の2つからできており、それぞれが表してい
る内容が違うということになります。
証明書の中身はここに注意!
「表示登記」と「権利登記」とでは、それぞれ表す内容が違う
ため、これを見る際もポイントが異なります。
1.表示登記
(土地について)
・ 分筆の年月日はいつか?
相続の調査などで、被相続人の方がどれだけの土地を持っ
ているかを調べる際に、その土地に(根)抵当権が設定さ
れている場合にはまず、共同担保目録をとれば、ほぼすべ
ての不動産が出てきます。
しかし、その土地に一回も(根)抵当権などが設定されて
いない場合には、この方法は使えません。
なので、そのような場合には、わかっている土地の地番の
登記事項証明書を取り寄せ、その土地の過去の分筆の履歴
を調べ、そこから派生した土地の登記事項証明書を取って
所有者を確認します。
このような場合、法務局では分筆先の土地をまとめて取っ
てはくれませんので、一筆ずつ登記事項証明書を確認して
履歴を追い、さらにその途中で分筆されているものがあれ
ば、それについても調査するという、地道な作業が必要と
なります。
・ 合筆の年月日はいつか?
やはり相続の場合で、被相続人から預かった権利証の中に
書いてある土地の登記事項証明書が存在しないというケー
スがまれにあります。
このような場合は、その土地が他の土地に合筆されてしま
っており、その地番がなくなっていることがほとんどです。
なので、このような場合も、まずはその土地の閉鎖登記事
項証明書(閉鎖していても登記事項証明書は申請できる)
を取り寄せ、現在はどの土地に合筆され、誰の所有になっ
ているのかを調べる必要があります。
例えば、
10-2という土地が10-3と10-4という土地と一緒に10-1とい
う土地に合筆されていて、かつ所有者も同じときは、10-1
の権利証だけでは足りず、10-2、10-3、10-4という合筆前
の土地のすべての登記済証を用意しないと登記が受理され
ないことになります。
・ 対象の土地は公図に記載されているか?
まれにですが、登記事項証明書はあるのにその土地が公図
にない、もしくはその逆ということがあります。
このようなケースでは、その原因は分筆や合筆登記をした
際に、法務局側で公図への記載処理を忘れたことによる場
合がほとんどです。
そのような場合には、その登記事項証明書を持って、法務
局の人間に言えば、その場で公図を修正してくれます。
しかし、中には何代も前からその処理が忘れられていて、
その間に所有権の移転が行われているといったケースもあ
り、このような場合には関係者全員の了解、場合によって
は裁判などでシロクロをつけなければならないこともあり
ます。
(建物について)
・ 対象の建物は存在するのか?
建物について相続登記をする場合には、現状でその建物が
存在するかどうかということに注意が必要です。
本来、その建物が取り壊された際には「滅失の登記」とい
う表示登記をする必要がありますが、中にはその手続きを
していない場合もあります。
その場合には、現物は存在しないのに登記事項証明書はあ
るという、おかしなことになってしまいます。
なのでもし、その建物の評価を入れて遺産分割協議をして
いる場合には、滅失登記をしたうえで、改めて分割協議を
やり直さなければならなくなります。
以上のように、単に表面的に登記事項証明書の記載がわかると
いうだけでは、実務では通用しないこともありますので、でき
るだけ多くの事例あたることをお勧めします。
※ 「登記事項証明書等の見方。その3」へ続く。
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