登記事項証明書等の見方 その1
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
私のところでは、仕事の関係上、よく不動産登記事項証明書や公図といった
資料を見る機会が多いのですが、みなさんはこれらの見方をご存知でしょうか?
不動産登記事項証明書は、不動産の売買以外でも、相続手続きや一部の許認
可においてその人がどの程度の資産を持ち、その不動産にどの程度の担保が
ついているのか?といったことを知るために、金融取引でも頻繁に利用され
ます。
しかし、登記事項証明書だけを見ていたのでは、その地形や隣接との関係、
さらにはその上にどのような建物が建っているのかなどを知ることはできま
せん。
したがって、これらを把握するためには登記事項証明書に関連する各種資料
についても、読みこなせる必要があります。
なので、今回は不動産登記事項証明書を始め、その他の資料の見方について
簡単にご説明します。
登記事項証明書の取得はここに注意
まず、皆さんが不動産の登記事項証明書を取るときに、一番初めに手に入れ
る情報としては「地番」か「住所」のいずれかではないかと思います。
この「地番」と「住所」は、一見同じもののように見えますが、前者がその
土地の番号を表すものであるのに対して、後者は住所を表すものであるとこ
ろに大きな違いがあります。
この住所とは、「住居表示」といういわば郵便物配達のための番号であり、
地番とは違うものであるのが普通です。
また、この住居表示は、市や町などの大きな行政区画で行われています。
一方、地方ではこの住居表示が行われていないことも多くがあり、その場合
には地番がそのまま住所として使われています。
つまり
都市部(住居表示あり) → 住所と地番の両方あり
郊外部(住居表示なし) → 地番のみ
ということになります。
そこで不動産の登記事項証明書を法務局で取得するときの話になるのですが
あらかじめ地番がわかる場合には、それをそのまま登記事項証明書の申請書
に書くだけで済みます。
しかし、住所しかわからない場合には、
そのままでは証明書を取ることはできません。
なので、このような場合には、その前準備として住所から地番を割り出すと
いう作業をする必要があります。
この方法にはいくつかのやり方がありますが、一番わかりやすいのが
「ゼンリンの住宅地図」を使うというやり方です。
ゼンリンの住宅地図には、住所と一緒に地番が書かれており、
住所がわかればおおよその地番がわかるようになっています。
とはいえ、地番が必ずしもピンポイントで書かれているわけではなく、
また、隣地との境界があいまいな場合や、地番が並んでいるような場合も
あって、一見してどれが正解の地番かわからない場合もあります。
あてずっぼで書いて申請してもよいのですが、
もし、間違った場合には800円の印紙代が無駄になってしまいます。
なので、そのような場合には、それと思われる地番と一緒に所有者の氏名を
一緒に書いて提出すると、多少地番が間違っていた場合でも、法務局の人が
その所有者を頼りに、ほしい地番の登記事項証明書を取ってくれるのが普通
です。
この場合の申請書への書き方としては、次のような感じになります。
「市区町村」 「丁目」 「番地」 「家屋番号・所有者」
〇〇区 〇〇町 1 5番 甲野 一郎
そして、登記事項証明書を取る際に、できれば一緒に取っておきたいのが
「共同担保目録」(通称:共担)です。
この「共同担保目録」とは、複数の不動産を担保として借り入れをし、
それらの物件に(根)抵当権を設定したときに作られる目録です。
これは登記事項証明書の一部として作成されるので、これだけを取り寄せる
ことはできないため、必ず登記事項証明書の後ろにセットする形で作成され
ます。
したがって、この共担を請求するときには、証明書の申請書に
「共担付きでお願いします。」
と書いておくのが一般的です。
この「共同担保目録」ですが、なにが便利かといえばその所有者の方の持っ
ているあらかたの不動産がわかるという点にあります。
なぜ、この「共同担保目録」をとると、
ほとんどの不動産がわかるのかといえば・・・
金融機関では、融資のために抵当権や根抵当権を設定する場合には、通常、
その人の所有する不動産のすべてに対してこれらの権利を設定します。
例えば、その人が現在住んでいる土地と建物の他に、隣の市に畑を持って
いるとしたら、この畑についても同時に抵当権等を設定するわけです。
もちろん融資した金額が特定の土地や建物の価値だけで釣り合う場合には、
あえてそれ以上の不動産を担保に取らない場合もあります>
しかし、このようなケースは少なく、実際にはすべての物件が抵当に入る
ことになります。
このようなわけで、「共同担保目録」を見れば、その人がどこにどんな
不動産を持っているかがほぼわかるため、特に相続の調査の時には役に
立ちます。
公図やその他の資料について
次に公図についてですが、公図とは昔、国が税金を取るために土地の大きさ
や田畑や山林といった土地の種別、隣接との位置関係を把握するために作っ
た図面で、これらを証明する公的な資料としては唯一のものとなります。
しかし、そもそもが明治ぐらいに作られた地図なので、正確な測量をされて
いない箇所も多く、隣接との関係もあいまいなものも少なくありません。
これに対して、比較的最近になってから正確な測量のもとに正しい位置や
地形をあらわした公図も作成されており、このような公図を「十七条地図」
といいます。
この「十七条地図」が作られている個所については、これが正式な公図と
いうことになりますが、これがない地区(まだ、ほとんどがこれ)について
は、以前からの公図を使うことになります。
とはいえ、この公図についても昔は紙に書かれたものをもとに作られている
ため、場合によっては明らかに違っている場合があります。
そのような場合にはそのもとになった紙の公図を引っ張り出して(法務局に
保管されています)、現在の公図と違っている(遺漏や転記の間違い)場合
には修正をしてもらわなければならないこともあったりします。
しかし、登記事項証明書と公図だけでは、その土地の正確な面積や地形が
わからない場合も少なくありません。
こんな時に役立つのが「地積測量図」です。
この「地積測量図」とは、一つまたはこれに隣接する複数の土地について、
正確な測量にもとづいて作られた図面であり、詳細な土地の面積の出し方
(求積方法)や方位などが記載されています。
最近では土地の分筆や合筆をする際には作成が義務付けられているこの図面
ですが、これが義務化されたのは昭和37年頃のため、それ以前のものについ
てかなりの割合で作られていないというのが現状です。
調査の時にはこれらの資料を駆使して、正確な権利や所有の有無について
調べるのですが、登記事項証明書・公図・地積測量図(あれば)・共同担保
目録は、この調査の上で必ず確認しなければならない資料です。
なので、取り漏れがないようにするとともに、その中身についても正確に
理解できるようにしておく必要があります。
※ 「登記事項証明書等の見方。その2」へ続く。
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