本人訴訟と、かかった費用と、その手間と【その3】
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
前回はやっと裁判で判決を得たというところまで書きました。
今回は、その後の「強制執行手続きをどうしたか?」ということに
ついてご報告したいと思います。
いざ、強制執行へ!
強制執行手続きについては、実際に手続きをしたことがないという
方が多いと思いますので、少し細かく書きます。
まず強制執行手続きをするにあたって、決めなくてはならないのが、
「何を差し押さえるか?」ということです。
この差し押さえの対象が何であるかにより、手続きが大きく変わっ
てきます。
相手の状況としては、旦那とは離婚して賃貸アパートに居住、現在、
アルバイトとして飲食店に勤務、高校生の息子が一人いるといった
状況でめぼしい資産はほとんど見当たりません。
嫌がらせの意味も含めて、住居での動産執行も一時は考えましたが、
実際にこれをするとなると執行官の日当やら、場合によってはカギ
屋の費用などが必要となるだけでなく、大した財産がないため執行
の不能という事態になることも予想されたのでこれについてはやめ
ました。
となると、現実的に差し押さえて効果のありそうなものといえば、
預金くらいのものです。
私の場合は、あらかじめ相手の預金口座をいくつかは聞いていたの
で、これについて差押えをすることにしました。
対象となるのは、H銀行とR銀行の2つの口座です。
なお、余談ですが、「差押え」と「仮差押え」について、よくご存
じない方もいるので簡単に説明しておきます。
まず、「差押え」とは、判決や和解などといった最終的に確定した
裁判所の判決にもとづいて相手の財産を差し押さえる手続きのこと
をいいます
これに対して、「仮差押え」とは、まだ裁判の判決が出る前の段階
で、あらかじめ相手の財産などを凍結しておく手続きとなります。
そのため、「差押え」は、これが成功すればその財産の中から支払
いを受けることができますが、「仮差押え」の場合はこれが成功し
ても、その後に裁判で勝たない限り、その中から支払いを受けるこ
とはできません。
また、「仮差押え」では、これを裁判所に認めてもらうために、
請求額の1/3~1/5程度の供託金というものを納めなければなりませ
ん。
さらに、「仮差押え」をしても、万が一裁判などでこちらが敗訴し、
それにより相手が損害を被った場合には、それに対して損害賠償を
しなければならないという制約もあります。
というわけで、今回は判決が確定するのを待った上で、「差押え」
の手続きを行ったわけです。
話を戻します。
とりあえず、差し押さえるものが銀行口座の預金と決まったので、
その手続きは必然的に「債権に対する強制執行」(以下、「債権執
行」)ということになります。
でも、この時点で、「相手の口座にいくらの預金があるのか?」
ということはわかりません。
また、仮に、相手の銀行に対する支払いなどが残っている場合には、
銀行側に先に相殺されてしまう可能性もあります。
つまりは、すべて賭けのようなものなわけです。
全額を差し押さえることはできないという事実。
なお、これも運次第なのですが、複数の金融機関の預金を差し押さ
える場合には、それぞれを請求額の全額をもって差し押さえるとい
うことができません。
これはどういうことかといえば
たとえば、判決で50万円の支払いが確定した場合、A銀行とB銀行
のそれぞれに差し押さえをするとします。
しかし、この場合にはA銀行について30万円、B銀行について20万
円などのように50万円を限度として、それぞれの銀行に対して、差
し押さえる額をあらかじめ決めなくてはならないのです。
これを「差押え額の割振り」といいます。
なので、仮にA銀行100万円、B銀行に0円の預金があったとしても
先ほどの例のようにA銀行について30万円、B銀行について20万と
いう割り振りをして申請してしまった場合には、A銀行に100万円
の預金があったとしても申請した額の30万円しか差し押さえること
が出来ません。
そのため、不足分を差し押さえるためにはあらためてA銀行につき、
残額の20万円を差し押さえる申し立てをしなくてはならないことに
なります。
でも、通常は一度そんな差押えがされれば、すぐに残りの預金は引
き出されてしまうのが普通です。
そんなわけで、今回の判決での支払額は約40万円だったので、それ
をどのように割り振るか悩んだ末、それぞれの銀行について20万ず
つの割振りとすることにしました。
しかし、まさかこれが裏目に出るとは、後になってわかります。
とりあえず、差し押さえるものと、差し押さえる方法が決まったの
で、次は「いつ、これをするか?」です。
グスグスしていれば、差し押さえに気がついて、相手が預金を他に
移してしまうかもしれません。
そうなれば、すべての苦労は水の泡です。
意外と親切な裁判所にビックリ
東京での差押え手続きは、裁判所ではなく目黒にある
「民事執行センター」というところで扱っています。
なので、地図を頼りに、お昼ギリギリに滑り込み、書類をチェック
してもらったところ、何と管轄違いであることが判明。
同じ都内の案件でも、相手の住所地が23区外の場合には、取り扱い
は立川裁判所になるとのこと・・・
仕方がないので、その足で遠い道のりを最寄り駅まで戻り、立川を
目指します。
立川の裁判所も、実際には立川駅からモノレールで1駅目から500m
くらい先という、なんとも中途半端なロケーションです。
行ってみると、周りに何もない中で、真新しい庁舎だけがそびえて
います。
担当部署を確認し行ってみると、担当官から
「内容をチェックするから20分後にまた来て。印紙もないなら先に
買っておいてね。」
と意外とフレンドリーな指示が・・・
言われたとおりに印紙を買って、約束の時間に再び行くと、申立書
に記載された請求金額の計算が違うとのこと。
「普段ならこれでいいんだけど、
今年は閏年なんで、日割り計算は364日になるんだよね。」
といいつつも、すでに計算式や訂正箇所を鉛筆書きしてくれています。
優しいな。裁判所!
指示通りに書類を訂正し、提出完了です。
今後のスケジュールについて聞いてみると、次のような感じでした。
・ 明日(金曜日)に差し押さえ命令を発令するとのこと。
・ 月曜日に銀行に差押え命令が到着するので、その後、各銀行か
らいくらの預金があるかの回答がある予定。
・ 銀行からの命令が送達された旨の回答が裁判所に来たら、その
後に債務者本人に差し押さえ命令を送達する。
・ 債務者に対して差し押さえ命令が送達されてから、1週間を経過
した場合には、直接銀行から預金を取り立てることが可能となる。
こんな感じで、何とか差押え命令の提出をすることができました。
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