本人訴訟と、かかった費用と、その手間と【その4】
こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
ここまでいろいろあったものの、なんとか<差押えの申立てまでをする
ことができました。
予測を外して、差し押さえ失敗?
あとは、3~4日で銀行から送られてくる、債務者の預金額の連絡を待つ
ばかりです。
翌週の水曜日に自分の事務所に行ってみると、両方の銀行から回答書が
届いています。
ドキドキしながら封を開けてみると、R銀行については3万円分の預金
しかないとのこと。
次にH銀行からの回答書を見ると、定期預金が30万円。
一瞬、やったーと思いましたが、よく考えてみてください。
差押えの申立てをしたときに、割り振った金額は各行20万円ずつです。
つまり、R銀行の3万円についてはいいとしても、このままではH銀行
の預金をすべて差し押さえることができません。
これをすべて差し押さえるためには、とりあえずR銀行の3万円を先に
取立てたうえで、残りの額の17万円(20ー3万円)については一度これを
取り下げます。
そして、そのうえでその17万円の差押枠を使って、もう一度H銀行の
残額分である10万円を差し押さえるという手続きを取らなければなりま
せん。
割振り額 実際の預金額 余った枠 不足する枠
H銀行 20万円 30万円 10万円(再度、差押え)
R銀行 20万円 3万円 17万円(取下げ後、H銀行分に充当)
はじめの割振りの時点で、見事に予想を外したわけです。
しかも、2回目の差し押さえに必要な判決の正本は、現在の差押え手続き
が完全に終わるまで戻ってきません。
たとえ同じ裁判所に1通が提出されているからといっても、2回目の分
にそれを使いまわすのはNGのようです。
ならば、どうするのか?
非常に面倒な話ですが、このような場合、あらためて判決をした裁判所
に申し立てをして判決書の追加の発行をしてもらわなければなりません。
この手続きのことを「債務名義の再度付与」といいます。
こうして、残りの10万円を差し押さえるために、
「判決書(債務名義)の取得」➙「(追加分のための)差押えの申立て」
という手続きを、最初からやり直さなければならないことになりました。
その後、約3週間ほどの時間をかけ、ようやくすべての差押えが完了です。
こうして、めでたく、33万円の取立てをすることができましたが、そも
そも銀行になかった残りの7万円については、改めて別の方法で取り立
てなければなりません。
しかし、この分については今回の手続きではどうしようもないため、
後日、改めて何らかの執行手続きが必要となります。
裁判にかかった費用は?
では、今回の一連の手続きで、どれだけの費用がかかったのでしょう?
今回の裁判等手続きで実際にかかった費用は、以下のとおりです。
(裁判関連)
・ 裁判申立てのための印紙代 10,000円
・ 関係者への郵便切手代 約4,000円
(強制執行関連)
・ 執行文付与申立て手数料 300円×2
・ 送達証明書発行手数料 150円×2
・ 差押え申立て手数料 4,000円×2
・ 関係者への郵便切手代 5,160円×2
・ 各銀行の資格証明取得費用 1,200円×2
・ 交通費 約5,000円
・ 書類作成や裁判出頭の手間 プライスレス
つまり、実費だけで計40,620円ほどかかったことになります。
本来、これらの実費分の費用の大半は相手からとることができます。
しかし、今回については銀行預金を差し押さえても、なお、回収で
きなかった金額が7万円ほどあります。
なので、これらの実費分についてもこちらで負担したも同然という
ことになります。
つまり、40万円の回収をするために、実際の回収額が33万円で、
かつ4万円ほどの実費の負担と7万円の未回収分があるので、結局
11万円ほどの持ち出しという結果に終わりました。
しかし、もし、これを弁護士に依頼していたらトータルで30万円
の報酬がこれ以外にかかったものと思われます。
つまり、弁護士に頼んだ時点で、大赤字だったというわけです。
この裁判で学んだこと
以上が、今回の裁判の顛末となるわけですが、今回の手続きをし
てみて思ったことが2つあります。
一つ目は、「本格的な裁判は時間がかかる」ということです。
はじめの内容証明を出状したのがh28.04.22で、その後裁判を経
て、一応の回収ができたのがh29.02.27なので、トータル約10ケ
月の時間がかかったことになります。
これが即日に判決の出る少額訴訟であれば、期間は半分以下に
短縮されたかもしれません。
しかし、少額訴訟にはいろいろと弊害があることについては、
以前の回でお話ししたとおりです。
そして二つ目は、「それでもやってみてよかった」ということ
です。
結末はともかくとしても、今回の手続きにより、結果的には約
30万円の回収ができたわけです。
そして、何よりもお金に代えがたいのが、今回の経験です。
私もある程度は民事訴訟や執行法の勉強はしていたので、手続
きの流れやや用語については知っているつもりでした。
しかし、やはり、「やってみて知る」のと「単に知識として知
っている」というのには大きな違いがあります。
このことは行政書士の方ならば、マニュアルに書いてあること
と、現場の運用が違うという経験などにより、よくご存知だと
思います。
やはり、「知識は、知識でしかない」のです。
このブログを見て、結果についてどう評価されるかは、お読み
になった方次第です。
でも、「実際にやってみなければ、わからない」というのは、
実務でもそうだし、また、営業などでも同じだと思います。
「誰それが、よくないからといっていたから」
「しないほうがよい、と本に書いてあったから」
確かに、それらの評判や書いてあることのほとんどは正しいの
かしれません。
でも、なぜそれがダメなのかは、体験した人にしか理解できな
いことだと思います。
別に、私にならって裁判しろというわけではありませんが、今回
の件は、「たまには自分で試すということも大切」と思えた一件
でした。
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