行政書士のための「融資講座」【その5 資金繰り】
こんにちは、Ichigo(一期)行政書士事務所の引地です。
今回も引き続き、一般融資に関するお話です。
コンサルをしている中で、多いのが「なぜ、うちの会社はいつも資金
繰りが厳しいのだ? 利益は出ているのに・・・」という経営者から
のご質問です。
「儲かっているのに、お金が足りない」
これは一見すると不思議なことのように思いますが、実はどの会社にも
よくあるいくつのことが関係しています。
特に、現金支払い以外の理由による支出(買掛や売掛など)があると
その編の理由がわからなくなりがちです。
今回はこの
「儲かっているのに、なぜ、会社にお金がないのか?」
という理由についてご説明します。
利益は出ても資金が足りなくなる理由
利益は出ているのに、月末などにお金が不足する理由。
それは、すごく単純なことで
「入ってくる資金より、一時的に出ていく資金の方が多いから」
その理由は、実はこれだけなのです。
では、なぜ、お金がないのに、利益は出るのか?
それは
「一時的な資金不足の時期はあるとしても、トータルではそれ
以上の資金が入ってきているから」
に他なりません。
つまり、本当は儲かっているけど、お金は毎日、出たり入ったり
しているため、そのことが実感としてわかりづらいだけなのです。
なぜ月末などに資金が不足してしまうのかといえば、それには
次のような原因があります。
1. 入ってきたお金が在庫になっている。
2. 入ってくる予定のお金(売掛金や受取手形など)よりも、
支払う予定のお金(買掛金や支払手形など)の方が決済
が早い。
3. 融資の返済などが多額である。
これらの原因の一つまたは複数があると、会計上で利益は出てい
ても、手持ちの現金は不足することになります。
お金が無くなるそれぞれの理由
1.入ってきたお金が在庫になっている。
販売の事業をしていくうえで、一定程度の在庫は必要不可欠です。
なぜなら、お客がほしいと思うタイミングで商品がなければ、売り逃
しをしてしまうからです。
なので、売れるか売れないかわからなくても、いざというときのため
にある程度多めに商品を持っておく。
これが、いわゆる「在庫」となります。
しかし、在庫というのは買ったときには即金で、または1~1.5ケ月後
(買掛の場合)にその代金の支払いをしなければなりません。
でも、その在庫がいつ売れるかはわかりません。
もし、仕入れた後タイミングよくすぐに売れてくれればよいのですが、
販売するまでにはある程度の時間がかかるのが普通です。
また、これが小売りではなく、卸売でしかも掛け売りの場合ならば、
やはり代金の入金は1~1.5ケ月後ということになります。
このように在庫を持つ商売の場合には、お金が商品として固定されて
しまうため、在庫の量が多いほど資金はなくなることになります。
2. 売掛金等やよりも、支払う買掛金等の方が決済が早い
在庫とは別に、売掛や買掛で商売をしている場合には、通常、入金よ
りも支払いのタイミングの方が早いため、資金不足になりがちとなり
ます。
特に、買掛の入金のタイミングよりも売掛の入金のタイミングの方が
遅い場合(つまり代金回収までの期間が長い場合)は、資金不足がさ
らに顕著となります。
下記をご覧ください。
※ 太字は入金日、下線は支払日
➀売掛、買掛の期間がともに「当月末締め、翌月末支払い」場合
仕入れ 買掛締日 販 売 買掛支払 売掛締日 売掛入金
8/15 8/31 9/1 9/30 9/30 10/31
➁売掛「当月末締め翌々月末支払い」、買掛「当月末締め翌月末支払い」
仕入れ 買掛締日 販 売 買掛支払 売掛締日 売掛入金
8/15 8/31 9/1 9/30 9/30 11/30
➂売掛「当月末締め翌月末支払い」、買掛「当月末締め翌々月末支払い」
仕入れ 買掛締日 販 売 買掛支払 売掛締日 売掛入金
8/15 8/31 9/1 11/30 9/30 11/30
上の➀の例では、支払いは売上入金の1ヶ月前にやってきます。
➁の例では、支払いは売上入金の2ヶ月前にやってきます。
➂の例では、支払いと売上入金は同時となります。
なのでこれをお金を残すということで考えた場合は、➂→➀→➁の順
で悪い条件ということになります。
しかし、飲食店や一般小売の販売店などの場合には、その場で売上げ
が入ってくるため、資金不足が起こりにくい構造となっています。
【現金商売の場合(買掛「当月末締め、翌月末支払い】
仕入れ 販 売 入 金 買掛締日 買掛支払
8/15 8/15 8/15 8/31 9/30
このように掛けでの商売をしている場合には、入金と支払いまでの期
間(これを「サイト」といいます)がどうなっているかで、資金不足
が起こったり、資金が余ったりということが起きることになります。
3. 融資の返済などが多額である。
会社が融資を受けている場合、その支払元本は直接、決算書には載り
ません。
ただ、昨年度に支払った分があれば、その分の金額が貸借対照表の
借入金の額から減らされて表示されるだけです。
では、この元本はどこから払うのかといえば、会社に最終的に残った
利益、つまりは税引き後利益からということになります。
なぜ、このような取り扱いになるのかといえば、それは借入金の支払
い元本は経費にならないからです。
支払い利息が経費として認められ、損益計算書上に計上されるのとは
この点が大きく異なります。
したがって、決算書の損益計算書に税引き後利益が500万円と記載され
ていても、支払わなくてはならない借入金の元本が600万円あるとした
ら、その会社は100万円の現金不足ということになります。
以上のように、企業にはいくつの現金が少なくなる要因があるわけです
が、何が原因なのかは決算書やヒアリングをしなければわかりません。
なので、もし、社長から資金が不足する理由を聞かれた場合には、何が
その原因となっているのかを読み取る力が求められます。
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