行政書士のための「融資講座」【その7 金融機関の相違】

こんにちは、Ichigo(一期)行政書士事務所の引地です。
皆さんは、日本政策金融公庫などの政府系金融機関と市中の金融機関
との違いってご存知でしょうか?
この違いをキチンと知っておかないと、正しい使い分けができない
だけでなく、お客さんに尋ねられた時に恥をかくことになってしまい
ます。
そこで今回は「政府系金融機関と一般の金融機関での融資審査の違い」
についてお話ししたいと思います。
政府系金融機関と一般金融機関の違いは?
「公益性の強弱」について
政府系金融機関と一般の金融機関をそれぞれ比べた場合、
融資に対する考え方には大きな違いがあります。
なので、この違いを理解しておくと、事業計画書を作るときや
金融機関との交渉の場合に有利に働いたりします。
この2つの金融機関の違いの一つ目としては、「公益性の強弱の差」
ということが挙げられます。
そもそもすべての金融機関は、一部の人間や特定の企業を優遇した
りせず、平等にサービスをすべきという公益性を義務付けられてい
ます。
つまり、「私利」のためではなく「公利」に資するということです。
とはいえ、一般の金融機関は営利を追求する民間企業です。
また、金融機関ごとの経営方針の違いもあるため、
この点についてはどうしても優先順位が低くなりがちです。
これに対して、日本政策金融公庫などの政府系金融機関では
この公益性の順守ということが強く求められています、
そのため、同じ中小企業への融資であっても、より一層これを
重視した審査が行われる傾向があります。
これは、事業計画書についても、できるだけこの公益性を反映
したプランの方がより審査で有利になりやすいということを
意味します。
たとえば、創業融資の場合ならば
「雇用が増える」、「社会の役に立つ」
という要素などがあれば、大きなアドバンテージとなりやすい
ということです。
「小規模事業者への対応が厚い」の意味
2つ目の違いは「小規模事業者への対応が厚い」ということです。
通常、一般の金融機関では創業者や個人事業者といった資力の少な
い企業に対してはあまり融資をしたがりません。
なぜなら、貸し倒れの可能性が高いからです。
しかし、日本政策金融公庫をはじめとした政府系金融機関では、
このような企業に対しても積極的に融資を行います。
その主な理由は、それが国策であるとともに、
一般の金融機関ほど収益をあげることを求められていない
からです。
もちろん、政府系金融機関といえども税金を投入して行っているの
で、貸し倒ればかりが生じたのでは困ります。
しかし、審査の段階であまりそのリスクにこだわると小規模事業者
への融資そのものが困難となってしまいます。
そのため、ある程度のリスクを承知の上で融資をするという方針の
元、一般の金融機関では行わないこれらの融資も積極的に行われて
いるという違いがあります。
「計画重視の融資姿勢」とは?
そして3つ目の違いは「計画を重視した融資姿勢」です。
一般の金融機関では、リスクを避けるという考えが強いことから、
事業計画書の内容に問題がなくても融資をしないというケースが
少なからずあります。
なぜなら、事業計画書の内容は良くても、借主本人の信用力に
問題があると考えているからです。
なので、一般の金融機関では、将来の計画よりも、決算書の内容
であるとか、過去の販売成績といった「実績」を強く求める傾向
があります。
これに対して、政府系金融機関では、その企業が赤字であったり、
債務超過状態であったとしても、その事業計画の内容にみるべきと
ころがある場合には、融資をするというスタンスが取られています。
(もちろん、誰にでも貸すというわけではありませんが・・・)
したがって、政府系金融機関を利用する場合には、事業計画書や
事業プランがどうなっているのか?が重要ということにになります。
信用保証協会と一般金融機関との関係
信用保証協会の役割とは?
政府系機関として重要な役割を担っているものの一つとして
「信用保証協会」の存在があげられます。
信用保証協会は、国の特別法によって設立された中小企業を対象
とした資金調達のサポート機関です。
その特徴は
「直接の融資を行わず、貸出しについての保証のみを行う」
という点にあります。
また、信用保証協会では、個別の融資についての保証をするだけ
でなく、都道府県や市町村といった行政および金融機関と協力し、
企業が融資を利用しやすいなるようなパッケージを作っています。
これが「制度融資」といわれる仕組みです。
制度融資におけるそれぞれの役割は、次の通りです。
◆ 行 政 - 制度融資の仕組を作り、運用、管理をする。
◆ 金融機関 - 利用者に対して融資を行う
◆ 信用保証協会 - 金融機関の融資について信用の保証をす
多くの中小企業が金融機関から融資を受けられるのは、
この信用保証協会の保証があるからです。
なので、この保証を受けずに金融機関から融資を受ける場合には
ほとんどの場合で担保か保証人を求められることになります。
プロパー融資について
これに対して、金融機関が信用保証協会の保証をつけずに独自の責
任で融資するものを「プロパー融資」といいます。
しかしこれは、信用保証協会の保証が付かない分だけ審査が厳しく、
ある程度以上の実績がないと利用できないのが普通です。
では、なぜ、金融機関は信用保証協会の保証があれば融資をするの
でしょう?
それは万が一、その借入人が融資を返済できなくなったとしても
信用保証協会から8割の補填を受けることができるからです。
この場合のように、金融機関が信用保証協会に対して損害の補填を
求めることを「代位弁済」と言います。
代位弁済がされた場合には、それで返済義務がなくなるのではなく、
その後は金融機関から債権を譲り受けた信用保証協会に対して支払
いを行っていくこととなります。
このように信用保証協会と一般金融機関とは密接に関係しており、
もし、信用保証協会の保証がなければ、多くの企業が融資を受けら
れないだけでなく、金融機関においても融資できる先がないという
ことになってしまうわけです。
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