行政書士のための「融資講座」【その1 創業、通常融資の違い】
こんにちは。
Ichigo(一期)行政書士事務所の引地です。
これまでこのブログでは、創業融資についての解説を主に行ってきま
したが、融資は当然、創業融資だけではありません。
というよりは、融資全体のボリュームから見た場合には、創業融資は
そのごく一部であって、大半を占めるのが「通常の融資」です。
なので、これから本気で企業へのコンサルをしたいと考えているので
あれば、この「通常融資」に関する知識がなければ、十分なコンサル
はできないことになります。
したがって、今回からしばらくの間につきましては、「通常融資」の
基礎についてご説明したいと思います。
創業融資と通常融資の違い
創業融資と通常融資とでは、同じ融資でありながら大きな違いがあり
ます。その違いとしては、以下のようなものがあります。
創業融資の特徴
➀創業融資は、創業の方(通常、開業後2~5年程度)のみを対象
とした特殊な融資である。
➁創業融資は、一般的に創業者の資力の弱いことを考慮し、融資条
件が緩和されていたり、金利や担保の有無などについて優遇され
ていることが多い。
➂創業融資における審査は、過去の経営実績や決算状況によらず、
一定の元手(自己資金)や今後の事業に対する見通し(事業計画
書)を中心に行われる。
④創業者は、日本政策金融公庫と制度融資(信用保証協会付融資)
以外の融資(例えば、金融機関が独自の責任で行うプロパー融資
など)をほぼ受けることができない。
両者にはこのような違いがあるため、ある意味、創業融資は経験のな
い方でも手を付けやすいものとなっています。
通常融資の特徴
これに対して、通常融資融資には以下の特徴があります
➀融資のバリエーションが多く、目的別のプランが用意されている。
➁融資の審査は、過去の実績や経営状況を中心として行われる。
➂自己資金の要件などがない。
④創業融資に比べて、融資を受けられる金額が大きい。
➄特別な制度や信用保証協会の保証を利用しなければ、融資は有担
保または有保証が原則。
通常融資融資ではこのように融資審査が、企業業績や決算書の内容に
より判断されるため、一般企業のコンサルを行うためには
〇 その企業の過去~現在までの決算書の内容が読み取れること。
〇 現在の状況についての分析ができること。
〇 その企業の業種や業務について、ある程度の理解ができること。
〇 以上にもとづいて、問題への解決の提案ができること。
といった能力が必要となってきます。
大企業と中小企業の違い
では、相手が創業者でなければ、どの企業でも同じように融資を受け
られるのでしょうか?
答えは「NO」です。
同じ一般企業といえども、大企業と中小企業では融資の観点からして
大きく異なります。
これから皆さんは、おそらく中小企業を相手としたコンサルなどをす
る機会が多いと思いますが、中小企業の経営やそれへの融資は大企業
に対するものとは違うということを理解しておく必要があります。
例えば、大企業では法人とその経営者との関係性は分断されており、
金融的にもそのつながりはないか、もしくは希薄です。
これに対して、中小企業では、法人と社長は経営上、ほぼ一体であり
融資もこのことを考慮して行われます。
なぜこのように対応に違いが出るのかといえば、
大企業では決算書の作成や情報開示について、法律にもとづいたしっ
かりした体制が取られています。
しかし一方で、中小企業では、これらの内容を監査する者や制度はお
らず、その内容も恣意的であったり、ずさんであったりするためです。
また、中小企業では大企業と異なり、その財務基盤が脆弱です。
このような違いがあることから、金融機関では中小企業に融資をする
にあたっては、その実体的な内容を把握しようと、審査により慎重に
なります。
特に、中小企業への審査で重要となるのが、個人資産や個人的な財務
・信用の内容です。
先ほどもお伝えしたように、中小企業では会社と代表者がほとんど一
体となっています。
また、会社から代表者へ、また場合によっては代表者から会社へと資
金の融通がされているのが普通です。
なので、表面的にはよく見える決算書であったとしても、実は社長に
対する貸付金や負債があったり、その逆に、会社が赤字であっても社
長個人が会社に対して資金的な支援をしている場合もあります。
このように、中小企業では企業=経営者の関係が強いため、法人の財
務状況を見る場合には、それだけで判断するのではなく、代表者個人
の中身がどうであるかについても把握する必要があります。
以上のように、同じ融資であっても創業融資と通常融資融資とでは
目的やその内容、審査のポイントが違うということを認識したうえで
取り組む必要があります。
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