行政書士と決算書【その2】

こんにちは、行政書士再生コンサルタントの引地です。
前回は
「行政書士も、多少は決算書の内容がわかったほうがよい」
ということについてお話ししました。
そこで今回は、行政書士が知っておくべき決算書の内容についてもう
少し、深く掘り下げてみたいと思います。
決算書の基本は3部構成
まず、決算書とは大きく分けて3つの部分から構成されています。
一つは「別表」といわれる部分です。
この別表には1~16まであることが多いのですが、その中身は会社
の情報やその期の成績がざっくりと書かれている別表1(税務署で受
付印を押す表紙の部分)から始まり、その他として、株主の構成や減
価償却をどのように行ったかという情報などが記載されています。
そして次の大きなパーツは、皆さんもよくご存じの
「貸借対照表」と「損益計算書」を記載した部分となります。
そして最後は、この後につけられている「勘定科目明細」という様式
です。
ここには預金の中身は何か?、売掛金の相手先や金額はいくらか?
などといったいわゆる、貸借対照表と損益計算書に出てくる項目の一
つ一つについてその中身を詳細に記載したものということになります。
以上が、おおざっぱに見た決算書の中身ということになります。
では、この中でとりあえず気をつけておかなければならいのは、
どこかわかります?
貸借対照表と損益計算書の中身が重要なのはむろんですが、それ以外
にも見ておかなければならないことがいくつかあります。
たとえば、その一つが「別表1」です。
ここには先ほどご説明したような会社の基本的な情報が書かれている
のですが、ここで注意すべきなのが「税務署の受付日」です。
普通、法人は決算終了後2ヶ月以内に決算書を税務所に提出なければ
ならないことになっていますので、この日付は当然、その期間内であ
る必要があります。
しかし、一部の企業では、この期限を守れていない場合が少なくあり
ません。
また、会社が決算書を提出した後に税務署から内容について修正を求
められることがあります。
この場合には、修正申告ということで、新たに決算書を提出しなけれ
ばならないわけですが、その場合にはこの別表1には(修正)という
文字が押されることになります。
このようなことを金融機関は見逃しません。
もし、納付期限までに決算書の提出がされていない場合や、修正申告
をしているような場合には、それだけで「この会社はルーズなんだな」
と判断します。
そもそもお金を貸して、期限通りに返してもらうのが金融機関の仕事
ですから、このような会社は非常に嫌われます。
他にも、「減価償却が法律の決まり通りに行われているか?」
「仮払金の処理はキチンされているか?」
「売掛金などで不良化しているものはないか?」
「税金の納付は期限内に行われているか?」
など、売上げや利益以外にも、見るべきところはたくさんあります。
よく見かけるものとして、会社から代表者への貸付金というものが
ありますが、これなどは
・両者の間で正式な近世消費貸借の契約書を交わす。
・キチンと定期的に利息を取る。
ということがされていない場合には、返済されないお金として全額
がマイナスの査定をされてしまうこともあります。
金融機関による貸借対照表の中身
よく経営者の方の中には表面的な貸借対照表の数字だけを見て、
「自分のところはこんなに資本金や剰余金があるから大丈夫!」
と思っている人が少なくありませんが、金融機関では貸借対照表を
そのような単純な形では見ていません。
彼らは決算書を預かった場合、貸借対照表についてはその実体的な
中身がいくらなのかということについて独自の査定を行っています。
たとえば、貸借対照表に売掛金1,000万円と表示されていたとしても
もし、長い間回収されていないものが200万円あったとしたら、この
200万円は回収できないものとしてこれを表面的な金額から差し引き
売掛金は800万円と査定します。
また、商品についても決算上の金額が500万円であったとしても、そ
のうちの100万円について不良在庫と判断すれば、商品価値は400万
円として計算することになります。
このように実体的な事情を査定して作成したものを「実体的貸借対照
表」といいます。
そのため、決算書の表面的な数字の上では十分な資本金や剰余金があ
る場合でも、この実体的貸借対照表によれば資本金が欠損していたり
ひどい場合には債務超過となります。
なお、貸借対照表だけでなく、損益計算書についても同じように査定
を行います。
このように金融機関では決算書をそのまま見ているわけではなく、
実態がどうかという点から見直しをしていますので、コンサルをする
立場としても、単純に表面だけを見るのではなく、このような知識に
もとづいた対応を行う必要があります。
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